アロハ便り
 

ハワイ島ヒロからアローハ!

色とりどりのアンスリウム
色とりどりのアンスリウムがいっぱい!

今年はあまり雨が降らず、ハワイ島ではかんばつといわれています。特にハワイ島の北西方面のコハラ地域では草木が枯れ、砂漠化して茶色になっているのが現実です。
でもそんな乾燥しきった時でさえ、雨が定期的に降るのがここ、ヒロの町。適度な湿度と太陽の恵みが、たくさんのトロピカル・フラワーを咲かせてくれるのです。

さて、皆様もご存知かもしれませんが、ハワイ島を代表する花、と言えば、蘭(オーキッド)、ですよね。それではヒロを代表する花、と言えば、何の花だかご存知ですか?
はい、正解です。今回のアロハ便りの主人公、アンスリウム!
以外にも、アンスリウムはヒロの日系人の歴史と共に成長し、彼らの手により開発されてきたお花なんですよ。

創業者のハロルド・タノウエ氏(右)と息子さんのエリックさん(左)
創業者のハロルド・タノウエ氏(右)と
息子さんのエリックさん(左)

そしてそのアンスリウムの栽培をビジネス化し、世界の人々によりいっそう愛されるハワイの花として位置付けることに成功したのが、グリーン・ポイント・ナーサリーの創始者、ハロルド・タノウエ氏です。
ということで今回のアロハ便りでは、ハロルドさんと右腕の息子であるエリックさんお二人を訪ね、いろいろなお話を聞かせていただきました。

ハロルドさんは熊本県出身の日系人三世の長男として、1935年にヒロに生まれました。一世であった祖母は、孫であるハロルドさんが無事に誕生したことから、安心して故郷の熊本に帰国され、今でも熊本県にはハロルドさんの親戚の方がいらっしゃるそう。
戦前はまだ、子供の頃は浴衣を着て、下駄を履いて、お風呂に入る、という日本的な生活様式や日本の文化が生きていた頃だった、とおっしゃるハロルドさん。
そんな日系人たちはとてもお花が好きで、自宅の庭には必ずと言っていいほど花、特にアンスリウムがたくさん植えられていたのだそうです。

良いアンスリウムはワックスみたいに光沢がある
良いアンスリウムはワックスみたいに光沢がある

それはハプウ、という中型のシダ固有種の木の下が自然の温室となり、強い太陽から守られ、程よい湿度を保つことで、アンスリウムが良く育つ環境でもあったからなのだそうです。
なので、アンスリウムを園芸の趣味として育てていた家庭の多くが、交配種や受粉などを行い、新種のアンスリウムを開発していきました。そんな背景から多くのアンスリウムには日系人の名前が付いているのだそうです。
そして戦中戦後、ハワイ島には米軍基地が幾つもあったことから、軍関係者が米国本土へ送るお土産やプレゼント用の花として、とてもエキゾチックでトロピカルなアンスリウムが人気を集めました。この様にアンスリウムの需要がとても多かったことから、アンスリウムを栽培している家庭は副収入として家計を助けることができたのでした。

花屋がサンパン・トラックで各家庭を巡ってアンスリウムの切花を集める、という時代であった1957年、ハロルドさんは米国本土の大学を卒業してハワイ島ヒロへ戻ってきました。

こんなきれいな花がハワイから届いたら感動!
こんなきれいな花がハワイから届いたら感動!

しかし多くの人が出稼ぎで島を離れていくことから、何かヒロで事業を始めたい、と考えていました。まだ戦後で景気はあまりよくなかったのですが、父親のタイヤ会社を継ぐ気は無く、ハワイから何かを輸出するビジネスをしたい、と頭をひねっていたある日、アンスリウムの花をビジネスにしてはどうか?とひらめいたのです。花は誰もが喜ぶ商品、そして当時、アンスリウムを本格的な園芸ビジネスとして栽培している業者はまだ誰もいませんでした。更に、ヒロはアンスリウムを育てるのに非常に適している、ということにもハロルドさんは着眼したのです。
土の質がよいこと、空気が新鮮なこと、雨の量も適量、風も涼しい、天候、特に気温がちょうどよい、という主な点が品質の良いアンスリウムを育てるのに最適だったんですね。

敷地内に広がるグリーンハウス
敷地内に広がるグリーンハウス、これはほんの一部

その後、ハロルドさんは独自のアンスリウムの研究を重ねました。そして、1977年ヒロ近郊にあるパナエヴァに土地を購入し、そこにグリーン・ポイント・ナーサリーを開設したのです。
それはちょうどハロルドさんの息子、エリックさんがハワイ大学ヒロ校の農業科に入学した頃でした。それからは親子二人三脚で、フラワー、園芸ビジネスを協力して行い、力を合わせてきたのです。すごいタッグチームですよね!

そうして1970年代にはヨーロッパ、特にイタリアとドイツにアンスリウムの輸出を開始し、1980年代には日本、そして1990年代になってから米国本土へ、とその流通網を広めていきました。
でも全てが順調であったわけではありません。1980年代にはアンスリウムの大敵であるウィールスがハワイ島を直撃し、多くの品種がダメージを受けました。特に個人で栽培され、商業化されることのなかった珍種は、研究室などに組織細胞が保存されることがなかったため、ほとんどが永久的に滅びてしまったのです!

ハワイ大学と提携して新種の研究も行っている
ハワイ大学と提携して
新種の研究も行っている

そのようなことがあり、グリーン・ポイント・ナーサリーでは早期にハワイ大学マノア校、そしてヒロ校と提携し、アンスリウムの品種と品質保存のために、各キャンパスの農業科の研究室と共に、既存する品種の組織細胞の保存、そして新種の開発など、お互い協力しあって研究を進めてきました。
今では大学との共同開発専門の栽培セクションもあり、こうやって科学的にも熱心に研究が重ねられているからこそ、美しくヘルシーなアンスリウムがすくすくと育つんだ~、と感嘆しました!

ヒロ近郊のパナエヴァにオフィスと温室がある
ヒロ近郊のパナエヴァにオフィスと温室がある

アンスリウムが栽培されているのは、パナエヴァとカーティスタウン、とヒロ近郊の二箇所で、今回お邪魔させていただいたのはパナエヴァ本社の方。
こちらでは切花のパッキングや主なオペレーションが行われ、シェード・ハウス、と呼ばれているアンスリウムが好む日陰を与える温室エリアが数エーカーにも広がります。パナエヴァは陽が強いため、濃い色のアンスリウムや熱に強い品種を栽培し、カーティスタウンでは、標高が少々あり陽が弱いため、白やピンクなど日焼けしない色や鉢植えされたアンスリウム等を栽培しているそうです。おもしろいですね~!

今や業界定番となった箱詰め
今や業界定番となった箱詰め方を
考案したのもハロルド氏

実は、ハロルドさん、今では花業界では当たり前、とされている栽培方法や花のパッケージング方法を幾つも開発、導入してきた発明家なんですよ!大量にアンスリウム栽培することを可能としているのは、ある特定の面積に日陰を作り、高品質な土俵を提供し、植物の健康を維持すること。そこでシェード・ハウスを考案し、火山からできたシンダー(噴石)を利用して、より良い栄養をアンスリウムに与えるなど、全てハロルドさんの発想から実施されていることばかり。

パッケージングでも数々の開発がありますが、一番最近の方法はシングル・レイヤー・パックと呼ばれている方法。写真にも撮ったように、花を一輪ずつ一層に固定させて送る方法です。これは見た目にも綺麗ですし、花にダメージが少なく、梱包に材料が少なくて済むために、デリケートな花でも安心して、無駄なく軽量な状態で送ることができる花の郵送方法なのです。ハロルドさんの前向きで革新的な発想パワーには脱帽です~!

通称オバケと呼ばれている大型アンスリウム
通称オバケと呼ばれている大型
アンスリウムは縦40cm以上!

さて、今回はた~くさんのきれいで色鮮やかなアンスリウムの品種の数々を拝見させていただきました。
中でも人気があるのは大きなアンスリウムで、こちらでは通称「オバケ」と呼ばれている人の顔以上もある大きな種類です。なんで、こんな名前が付いたのでしょうか?エリックさん曰く、「昔、子供たちが夜まで外で遊のを防ぐために、大きなアンスリウムが咲いているのを指してオバケがいるよ、と脅かしたのが由来なんだ」とのこと。確かに暗がりに大きな顔の様な形に、鼻のような花弁のアンスリウムを遠目に見ると、ちょっと不気味ではありますよね(笑)」。
な~るほど~!そんな訳で日本語である「お化け」が通称となったんだ。よ~し、今年のハローウィーンの衣装は顔マスクとして美しい「オバケ」はどう…かな!?

耳の部分が緑色のミッキー・アンスリウム
耳の部分が緑色のミッキー・アンスリウム、可愛い!

とにかく、日本人の花を愛でる文化が、ヒロの人々にアンスリウムを最も愛される花として育ませた、という事実は新しい発見でした♪そしてハロルドさん、エリックさん親子の様にアンスリウムに対し愛情と情熱を注ぎ、ビジネスをされている方々の存在も、と~っても勉強になりました。
また、2009年と2010年のメリー・モナーク・フェスティバルには、二年連続して会場内の飾りに使用された植物を寄贈提供したそうです。「今後も地元社会に貢献し、サポートできるような活動を続けていきたい」とのこと。これからも美しいアンスリウムを世に送り続けてくださいね!ハロルドさん、エリックさん、今回はありがとうございました!

吉田 玲子

ナーサリーで働く人たちとアンスリウム
左:てきぱきと花の箱詰め作業をする従業員
左2番目:どの花も丁寧に水で洗浄される
中央:2009年度ブルー・リボンを受賞した新種『マダム・ペレ』
右2番目:その他定番のトロピカル・フラワーやリーフ(葉)も取り扱っている
右:チューリップ・タイプのアンスリウム、綺麗!
 

関連情報:

  1. グリーン・ポイント・ナースリー
    ☆今回のように、ナーサリーを見学することも可能ですので、その際はぜひお気軽に依頼をしてくださいね、
    とのことです。
    連絡先:エリック・タノウエ
    電話:808-959-3535
    ファックス:808-959-7780
    メール:eric@greenpointnursery.com
    ウェブサイト:http://www.greenpointnursery.com/
  2. グリーン・ポイント・ナースリーが受賞した数々の花の一覧
    http://www.greenpointnursery.com/trophy/trophy.html
  3. 日本からもアンスリウムのオーダーができます!
    http://jp.greenpointnursery.com/m-2-green-point-nurseries.aspx(日本語)
吉田玲子プロフィール

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