ミシガン州ランバートヴィル生まれ。主にハワイの野生生物を描く水彩画家として40年間以上のキャリアを誇るアーティスト。1968年よりハワイ島へ移住。科学、歴史、及び地質学の修士号を持っている。小、中、高と教師として教育の現場に携わり、ハワイ州政府教育省の運営する火山国立公園内、ケアケアラニ野外教育センターのディレクター、ヒロ近郊にあるパナエヴァ・レインフォレスト・ズー&ガーデンズ(パナエヴァ熱帯雨林動物及び植物園)のディレクターとしても長年勤務。現在引退し、野生保護関連の活動を続けながら、ライフワークであるアクリル水彩画でハワイの野鳥、植物などを描き続け、彼の描く優しく忠実で正確な自然描写には定評がある。
またハワイ州政府よりハワイの子供たちのための環境教育に貢献したことから、ハワイ州保護賞を受賞。作品は、米国28州、そしてイギリスのプライベート・コレクションに収蔵。
ウェブサイト:http://www.laupahoehoegraphics.com
- Reiko:
- アロ~ハ! 今日はご自宅にお邪魔させていただきありがとうございます。早速ですが、生い立ちからお話をお聞かせください。
- Dick:
- 私はオハイオ州にごく近い、ミシガン州のある小さな田舎町で育ちました。
家は農家で、いつも小動物に囲まれた生活でしたね。田舎だったので、全学年が同時に学ぶ学校に1年生から6年生まで通いました。
- Reiko:
- まるで「大草原の小さな家」のような感じでしょうか。
- Dick:
- そうですね。その小学校に通っているときに、すばらしい先生に出会い、その先生の影響で自然科学に興味を持つようになりました。
ある日その先生が、マニラ紙の落書き帖を買い与えてくれたことから、絵を描くことに興味を持ち始めたのです。その頃、8歳のときに描いた、カーディナル(ショウジョウコウカンチョウ)の赤い鳥の絵を母が大切に保管していてくれ、それは母が亡くなった後に見つかったのですが、僕が当時から野鳥に興味があったということが、おかげさまでよく理解できましたよ。
- Reiko:
- 初めから焦点が定まっていた、というところがすごいですね。
- Dick:
- 野鳥だけではなく、伝書鳩なども子供の頃から飼育し、育てていました。今もヒロで鳩を育てていますよ。
- Reiko:
- 面白いですね~。ところでディックさんは、なんでハワイ島に移住されたんですか?
- Dick:
- ミシガン州に住んでいた頃は、妻と3人の子供との楽しい生活でしたが、冬は寒いし、何かこう、変化を求めていたんでしょうね。
ある日すべての所持品を処分して、一家全員で暖かいところへ行こう、とハワイへ引っ越すことにしたんです。ハワイでの仕事も家も何も無い状態での引越しでした。
ディテールを描き入れる作業中のディック氏
でも本当はハワイの国立公園内での仕事はオファーされていたのですが、全米の国立公園ですから、ハワイ以外の国立公園へ転勤する可能性がある、と言われたので断ったのです。
最初ホノルルに到着しましたが、まるでミシガン州の大都市、デトロイトと変わらない、ということでハワイ島ヒロへ移動しました。それで島をぐるっと巡り、どこに住むかを見て回りました。ヒロに到着した夜は地震の「ご挨拶」があったのをよく覚えています。そしてコナ側へ行ってマナゴ・ホテル(有名な宿舎)に泊まりました。
当時は1968年ですから、まだ白人もそう多くはなく、地元の人たちがみんな我が家の青い目の子供たちを珍しそうに見ていたのも覚えています。
現在のコナの開発振りからは想像もできないほど、未開拓地だったんですから、ヒロはそれに比べ「都会」でしたよ。そんな時代ですから、白人が逆差別を受けることは日常茶飯事でしたね。家を貸りるにも、どこへ行っても貸してもらうことができませんでした。
とっても仲良しの奥様のエイヴィスと
それでしばらくはオネカハカハ・ビーチにテントを張って生活していたんですよ!しかも下の子が未だ6ヶ月でね。何かと不自由はありましたが、それなりに楽しかったですね。最初は偏見でいっぱいだった土地の人たちも、こちらのことを理解してくれるようになり、次第に閉ざしていた心を開いてくれましたね。そしてしばらくしてから、ヒロ中学校で教師の仕事が見つかりました。担当した授業は「ハワイの歴史」です(笑)。
- Reiko:
- すごい皮肉、というか面白いですね~。その後住居は見つかったんですか?
- Dick:
- 学校で教え始めたことから、ラウパホエホエにあった、教師用の寄宿舎に住めることになり、住居の心配はしなくても済むようになりました。当時、小中学校のほとんどの教師は日系人でしたよ。それ以降、ずっと教育関連の職に就いていました。
- Reiko:
- それでは絵はどのようなきっかけで、プロとして描き始めたのですか?
- Dick:
- 絵はずっと子供の頃から描き続けていました。
野鳥などに興味を持っていたことから、自然と移住してきたハワイの野生動植物、たとえばネーネー(ハワイ原種のガチョウ)や、その他の原産主の植物などをこつこつと描いてきました。
野鳥や草花などの静物画が主な分野
そしてそれらを個人絵画展やクラフトフェアなどで発表してきましたが、私のスタイルに興味を持ってくださる方々が次第に増え、私の作品を依頼してくださったり、地元や全米のネイチャー誌の挿絵として作品が掲載されたり、とさまざまな形式でアートが広まっていったのです。それは自分が興味を持ち、愛する自然を自由に描いてきた結果が、今日の私のアーティストとしてのキャリアとなっているので、本当にありがたい事だと思っています。
かれこれ15年ほど前になりますが、イギリス人の著名な画家であった故ピーター・スコット卿の自宅に、私の描く作品がきっかけで招待され、スコット卿夫人と一緒にイギリス風のお茶をいただくことができました。
- Reiko:
- それはすばらしい体験ですね!ディックさんはパナエヴァ動物園でもアーティスト、そして白虎のナマステ君の「育ての親」、として知られていますよね。
- Dick:
-
あれは動物園のディレクターの穴埋めをするために頼まれて、一時的な代理ディレクターとして勤務したことがきっかけでした。
アートは動物園のお土産品として販売されている
なのでしばらくは、傾きかけていた動物園の管理、そして運営等を任され、しっかりと地に足が着いた状態にこぎつけるまでお手伝いをしました。その期間に私のアートをもちろん無償で提供し、動物園のギフトショップで販売できる商品などを作り、売り上げに貢献できるようにしたのです。
ナマステは本当に赤ちゃんの頃から世話をしていたので、今でも特殊な呼びかけの声を出すと私の所にやってきますよ。動物園からは引退しましたが、今でも時々ナマステに会いに行って交流を図っています。
- Reiko:
- 今日はお忙しいところ、お時間をいただき本当にありがとうございました!これからの新作を楽しみにしています!
~インタビュー後日談~
初めて彼の存在を知ったのは、パナエヴァ動物園。
今でも毎日3時半から行われているスター・アニマル、白虎ナマステ君の餌付けを約8年ほど前に、子供と観に行ったときでした。
ナマステ君にとって、育ての親であるディックさん。いつでもとってもやさしく説明してくれる動物園の飼育係のおじさん、というのが第一印象。実はこの方、私の遠い親戚にあたる人なのです!穏やかで物静か、さまざまな経験を積まれた、まさにルネッサンスマンであり、ハワイの大自然と動物を愛する素敵なアーティスト。
これからも多くのハワイの野生動植物を描き続けてくださいね♪
吉田 玲子
関連情報:
モーテモア氏の2010年の主なクラフト・フェア出店スケジュール
- メリー・モナーク・フェスティバル
場所:ハワイ島ヒロ、バットラー・ビルディング
日時:4月7~9日(水~金)→8:30~17:00 - 第14回恒例メイド・イン・ハワイイ・フェスティバル
場所:オアフ島ホノルル、ニール・ブレイズデル・センター
日時:8月20&21日(金&土)→10:00~21:00、8月22日(日)→10:00~17:00 ※ブース#90 - クリスマス・クラフト・エグストラヴァガンザ
場所:ハワイ島ヒロ、イーディス・カナカオレ・スタジアム
日時:11月19&20日(金&土) - ナ・マクア・インビテーショナル・ギフト・フェア
場所:ハワイ島ヒロ、バットラー・ビルディング
日時:12月4&5日(金&土)
パナエヴァ・レインフォレスト・ズー&ガーデンズ
こちらのギフト・ショップにてモーテモア氏の描いた動物園の仲間たちが常時販売されています。
動物園ぬり絵本ももうすぐ完成予定!
住所:ハワイ島ヒロ、ハイウェイ11号線沿い(ケアアウ手前)
園時間:毎日9:00~16:00
祭日:クリスマス・デーと元旦
入園料:無料
体験型動物園コーナー:毎週土曜日13:30~14:30
白虎ナマステ君の餌付け:毎日15:30から
ウェブサイト:http://www.hilozoo.com